皆さんは削りや磨きに関する熟語をいくつご存知でしょうか?
<研磨>、<切削>、<研削>
意外なことに削りや磨きを意味する単語はたくさんあるのです。
<研磨>、<切削>、<研削>はそれぞれ加工と組み合わせて<研磨加工>、<切削加工>、<研削加工>と呼ばれ、実は3つとも除去加工の1つです。
一見これらの単語からは同じ削りや磨きのイメージを受けますが、実は本来の意味には若干違いがあります。
その違いについて今回を含め3本立てで解説していきたいと思います。
本ブログを読んでいる方なら少なからず削りや磨きに興味があると思いますので、
その技術に加え、削りや磨きに関する用語を知ってさらに理解を深めましょう!
~ part1 研磨加工って何、磨き?削り?研磨加工にはどのような方法がある?
<研磨加工>は、すでに目的の形状に加工されている素材をさらに滑らかな表面状態にすることを
指します。
例えば、外観・美観の向上のために、仕上げ工程として艶出し(鏡面加工)をすることが挙げられます。
研磨加工では、研磨材で対象物表面を少量ずつ削りより滑らかに加工します。
そのため、切削加工のように対象物の形状を変える研磨ではなく、研削加工よりもさらに仕上げの要素が強く精度が求められる製品に用いられることが多い手法です。
表面の凹凸を減らすことで、光沢を付与するだけでなく、サビや汚れの付着を防ぐ効果もあります。
研磨加工と一口で言っても以下のように様々な種類があります。
研磨加工の方法についてみてみましょう。
・研磨布紙による研磨加工
“紙(布)やすり”を使用したごく一般的な研磨です。
研磨布紙加工は、砥粒が付着した研磨布紙を対象物に押し当てることで、対象物を磨く手法になります。
紙(布)やすりは、研磨材表面に砥粒が接着剤でしっかり固定されています。
そのため、研磨布紙による研磨は代表的な固定砥粒加工法の1つでもあります。
手作業によるものもありますが、工業的には大型の研磨機やサンダーなどの工具で研磨することもあります。
・砥石研磨加工
砥石研磨では、砥石を使って対象物を研磨します。
台所の包丁研ぎを思い出した方も多いのではないでしょうか?
もちろんその通りです。包丁研ぎも立派な砥石研磨の1つです。
砥石研磨では、対象物や砥石を回転させることによって固定している時よりも高い研磨力を発揮させることが可能です。
工業的にはグラインダーなどの回転工具を使用することが多いのが特徴です。
・ラッピング研磨加工
ラッピング研磨とは、平面台(ラップ)の上に対象物を置き、研磨材(剤)と対象物を擦り合わせる研磨方法です。
この時使用する研磨材(剤)は、湿式法・乾式法によっても異なります。
湿式法であれば、液体研磨剤を使用します。
ラッピング研磨は平滑化効果が高いため、仕上がりを重視する製品や鏡面加工のような特別な加工が必要な場合にしばしば採用される方法です。
・バフ研磨加工
先程説明したラッピング研磨同様に、バフ研磨は研磨材と対象物を擦り合わせる研磨方法となります。
しかし、バフ研磨では、平面台(ラップ)は使用せず、フェルトなどの柔らかい素材(バフ)を用いて対象物を磨きます。
仕上げ工程の艶出しなどで採用される手法で、ラッピング研磨よりも微細な研磨材を使用しているので、
さらに精密な仕上がりを希望する場合はこちらの方法が適しています。
仕上がりに合わせて、バフの素材や研磨剤の選定を行ないます。
・バレル研磨加工
バレル研磨では、容器へ研磨剤と対象物を一緒に投入し、容器の振動や回転によって多くの製品を一度に研磨する手法です。
一度に多数を処理できる分、大量生産に向いています。
しかし、1つ1つの品質を振動や回転で正確にコントロールすることは難しいことに課題があり、
バリ取りなど比較的単純な加工処理に用いられます。
・電解研磨加工
電解研磨は、対象物を電解研磨液に浸し、電流を流すことで表面を溶かして研磨効果を得る方法です。
電気分解という化学反応を利用しているので、物理的に研磨が難しい小さく複雑な形状の対象物でも研磨が可能なのが最大のメリットです。
一方、電解研磨が可能な素材が限られることと、物理的な研磨に比べコストがかかることがデメリットとして挙げられます。
なんとなくのイメージですが、<研磨加工>には“磨き”いう字が含まれている分、“削り”が含まれている
<切削加工><研削加工>よりも細かいイメージがありますが、まさにその通りのようです。
削りや磨きは単純な加工に見えて実は多くの加工方法があるのです。
こんなものを作りたい!そう思ってもどの加工方法が最も適切なのか考えて、正しく選定する必要があります。
残りの<切削加工>と<研削加工>も混同しやすい表現ですが、実は異なる加工方法ですので
次回のPart2で詳しく見てみましょう!
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